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米国の玩具安全規制(CPSIA)と CPC、はじめの一歩

白瀬 レイ · 株式会社 Tokyo Works · 2026年10月13日

株式会社 Tokyo Works で、海外のお取引先様向けの提案資料や書類の作成を担当しております白瀬と申します。この記事は、初めて米国へ商品を出すことをお考えのメーカー様に向けて、実務で必要になることをまとめさせていただきました。法的な助言ではございません。規則は改正されることがありますので、個別の商品については CPSC 認定の試験所や専門家への確認をおすすめいたします。


米国のバイヤー様から「この商品を扱いたい」とお声がけいただいたあと、次に必ず出てくるのが「CPC はありますか?」という質問です。CPC は聞き慣れない言葉かもしれませんが、米国で子ども向けの商品を販売するために欠かせない書類です。

この記事では、どの商品が対象になるのか、どのような基準があるのか、そしてメーカー様にどのようなご協力をお願いすることになるのかを、順にご説明いたします。

1. まず「子ども向け製品」かどうかで決まります

米国の消費者製品安全改善法(CPSIA)では、ほとんどのことが一つの線で決まります。その商品が「12歳以下の子どもを主な対象として設計・意図された消費者製品」、つまり子ども向け製品に当たるかどうかです。

米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、メーカー様の表示だけでは判断せず、次の4つを合わせて見ています。

  1. メーカーによる用途の表明(ラベルを含みます。合理的なものに限られます)
  2. パッケージ、売場の陳列、販促、広告でどう見えるか
  3. 消費者が一般に「12歳以下向け」と受け止めるかどうか
  4. CPSC が定めている年齢判定のガイドライン

日本のキャラクター雑貨は大人やコレクターの方が買われることが多く、「15才以上」の対象年齢表示を付けている商品も少なくありません。この表示は判断の材料になりますが、それだけで対象外になるわけではございません。見た目が小さなお子さま向けのおもちゃに近く、おもちゃ売場に並ぶ商品であれば、子ども向け製品として扱われることがございます。私どもでは、迷う商品は早めに試験を前提にご相談させていただいております。

2. 子ども向け製品に求められる主な基準

私どもが扱わせていただくことの多い商品(ぬいぐるみ、フィギュア、文具、小物)で、特によく関わる基準は次のとおりです。

基準 内容 対象
総鉛含有量 手の触れる部分で 100 ppm 以下 すべての子ども向け製品
塗料・表面コーティングの鉛 90 ppm(0.009%)以下 すべての子ども向け製品
フタル酸エステル 指定の8種(DEHP・DBP・BBP・DINP・DIBP・DPENP・DHEXP・DCHP)それぞれ 0.1% 以下 子ども向けの玩具・育児用品
玩具の安全規格 ASTM F963-23(CPSIA 106条で義務化) 玩具
小部品 3歳未満向けの玩具は禁止。3〜6歳向けは誤飲の警告表示 玩具
トラッキングラベル 製品と包装に、製造者または輸入者・製造の場所と時期・ロットが分かる表示 すべての子ども向け製品

これらの基準は、CPSC が認定した第三者の試験所で試験を受ける必要がございます。メーカー様の自社試験や、日本の ST マーク、欧州の EN71 の試験成績書は、そのままでは代わりになりません。ただ、それらの成績書や材質の情報があると、試験の項目を絞り込みやすくなり、進めやすくなります。

3. CPC とはどのような書類か

CPC(Children's Product Certificate、子ども向け製品証明書)は、「この商品は試験を受け、基準に適合している」と証明する書類です。法律上、CPC を発行するのは米国内の製造者または輸入者で、多くの場合は現地の小売店様が輸入者になります。

そのため、メーカー様に CPC そのものをご用意いただく必要はございません。Tokyo Works が試験の結果をもとに CPC を作成し、輸入者に確認・署名していただく流れで進めております。

CPC には、次の7つの項目を記載することが定められています。

  1. 対象となる製品の特定(その製品だけに当てはまる詳しさで)
  2. 適用される子ども向け製品の安全規則
  3. 発行する輸入者(または製造者)の名称・住所・電話番号
  4. 試験記録を保管する担当者の連絡先
  5. 製造の時期(少なくとも年月)と場所
  6. 試験の日付と場所
  7. 第三者試験所の名称・住所・電話番号

このうち5番の「製造の時期と場所」は、メーカー様に教えていただかないと書けない項目です。

4. 2026年7月8日から始まった電子申告(eFiling)

2026年7月8日から、規制対象の商品を米国へ輸入する際には、通関の時点で証明書のデータを電子的に申告することが必要になりました。実務では、現地の通関業者が米国税関のシステム(ACE)に申告し、輸入者がそのデータを通関業者に渡すか、CPSC の登録システムに登録いたします。

商品が米国に着いてから書類をそろえるのでは間に合いません。出荷の前に CPC の内容が固まっている必要がございますので、試験のご相談は発注が決まった段階で早めにさせていただいております。

5. 子ども向けではない商品の場合

マグカップ、大人向けの文具、ポーチ、キーホルダーなど、多くの雑貨は一般用途の製品に当たり、CPC は必要ございません。特定の CPSC の規則の対象になる場合だけ、別の書類(GCC、一般適合証明書)が必要になり、その場合も第三者試験は義務ではありません。

ただし、1章の「子ども向けかどうか」の判断によって扱いが変わりますので、私どもで商品ごとに確認させていただきます。

6. カリフォルニア州の Prop 65 は別の制度です

カリフォルニア州の Proposition 65(Prop 65)は、CPSC の規則ではなく州の法律です。州が指定した発がん性や生殖毒性のある化学物質に、カリフォルニア州の人がさらされる前に「明確で合理的な警告」を表示することを、事業者に求めています。対象の物質のリストは長く、少なくとも年に一度更新されます。雑貨で関わりが出やすいのは、樹脂や塗装、ビニール素材に含まれる鉛やフタル酸エステルです。

  • 販売の禁止ではなく、警告表示の制度です。警告ラベルを付ければ販売できます。
  • 従業員10人未満の事業者は警告の義務が免除されますが、大手の小売店やネット通販では、規模にかかわらず契約で警告(または不要であることの根拠)を求められることが多くございます。
  • CPC は Prop 65 をカバーしません。ただ、CPSIA の鉛・フタル酸の試験結果は、Prop 65 の判断にも役立ちます。

警告ラベルを付けるかどうかは、輸入者が判断いたします。私どもは、その判断に必要な材質の情報と試験結果をお届けしております。

7. Tokyo Works が行うこと

アメリカ向けの希望取扱玩具の情報をいただけましたら、次の3つのどれかで回答を明示いたします。

  1. 試験成績書がある場合。 メーカー様(または、ご了承をいただいたうえで過去の米国の輸入者)がすでに CPSC 認定試験所の成績書をお持ちであれば、それをもとに CPC の下書きを作成いたします。
  2. 試験が必要な場合。 CPSC 認定ラボでの試験を Tokyo Works が手配するか、製造メーカー様に試験をお願いいたします。サンプルの数、試験の範囲、時期、費用は、着手する前に必ずご相談いたします。試験の結果をもとに CPC を作成いたします。
  3. 一般用途の製品の場合。 その旨と理由(対象年齢の表示、日本での売られ方など)をお伝えし、米国のバイヤー様から子ども向けと見られそうな商品があれば、あわせてご相談いたします。

トラッキングラベルの情報(製造者、製造年月、ロット)は生産の前に印刷していただく必要があるため、早い段階でご相談させていただいております。

8. メーカー様にお願いすることの多いこと

初めて米国に出す商品では、次のような情報やご協力をお願いすることが多くございます。お手元にない場合も、私どもで一緒に確認いたします。

  • ☐ 対象年齢の表示と、商品の想定している使われ方
  • ☐ 材質の情報(本体・塗装・樹脂・ビニール部分など)
  • ☐ すでにお持ちの試験成績書(ST マーク、EN71、過去の CPSC 試験など)
  • ☐ 試験用のサンプル(必要な場合のみ。数は事前にご相談いたします)
  • ☐ 製造の場所と年月、ロットの管理方法(トラッキングラベル・CPC の記載に使います)
  • ☐ パッケージや本体に表示を入れる余地があるかどうか

米国での販売に関わる英語の書類作成や、現地の輸入者・通関業者とのやり取りは、すべて Tokyo Works が担当いたします。メーカー様に専門的な知識をお持ちいただく必要はございません。

米国への出荷をお考えの商品がございましたら、お気軽にお声がけいただけますと幸いです。行き届かない点がございましたら、ご指摘をいただけますとありがたく存じます。

株式会社 Tokyo Works 白瀬 レイ · rei@tokyoworksjp.com


参考にした一次情報

米国への出荷をお考えの商品がございましたら、商材と対象年齢だけでもお知らせいただけますと幸いです。

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